無題 2022/1/25/星染
焼き切れて道端に飛び散る、あのときのあのひとの
笑った顔
ああもういいかと思ったのはあの時が初めだったのに
初めだったから
屈んで拾い集めているんですか今も
そうかもしれないね これは
多分お終いの合図
こだまする 夢にも似た音楽に勝手に救われて
救われていて
そのあいだ、とても寂しかった
わたしはいつかあのひとを悪者にする
右手の中指 眼球 膝の硬いところ 息のあつさ
の、細かい記憶に揺られて
本当に憶えていたかったにおいと、心臓の拍の音だけを
失ったままで
泣いている
痛みがないと何もできないと言って
返ってこないとわかっているから名を呼んで、
死なないとわかっているから十秒間
息を詰めた
蹲る背に降る光に、
それをいつかつばさにしてくださいと頼んでいる
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