揺 曳/塔野夏子
 
時は傷
   風は闇

虚空に揺れる鞦韆

水の衣装の傾きをたどる手から
   こぼれるやわらかい音符

   三日月の尖端から滴る
         蜜

 (  ( ((波 紋)) )  )

遠くで蒼い電信

   鞦韆を揺らしたのは 誰

      ちいさな痛みたちが
         星座のふりをする

水の意匠の傾きをたどる手から
   こぼれるやわらかい休符

      のあいだをさらにたどって

   傷は時
      闇は風

      波打つ虚空の界面から
         ゆっくりと 剥がれ落ちるまで





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