犬/蒼木りん
 
アワダチソウに
埋もれながら
どこか
寒くない日に
誰にも見つからない場所で
仰向けに月を見上げながら
死ねたら
幸せだろう

国道で
痩せた犬が歩いていた
私を見るなりシッポを振って飛び掛ってくる
泥にまみれた足と
糞で汚れた尻毛が
乾いて棘のようになっていた
そいつの
迫ってきた鼻と眼だけが黒々してる

その眼鼻だち
思い出した
おまえは
家で飼っていた犬だ
白い綺麗な犬だったのに
どうして
いなくなったんだい
だれが
扉を開けたのさ


わかっているけど

わかっていたけど
もういいよ


よく
生きてたな


一緒にいこう


まず
洗ってあげなくてはな





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