最後の一艘/ホロウ・シカエルボク
 

真冬の星座の下で改造拳銃をみぞおちに当てて一息でぶっ放した、火薬は多過ぎ、スプリングは確かだった、燃え上がり、あっという間に丸焦げになり、ヘドロだらけのどぶがようやく流れる時のなにかを引き摺るような音が聞こえると思ったらわずかに残された気管が呼吸を続けようとする音だった、意志とは関係なく四肢は意味の無い方向へ動いていこうとし、そのたびにずぶずぶと炭化した肉体が崩れ落ちる音がした、ふと、喉頭ガンで死んだ父親が、その夜に死ぬという日の午後に見舞ったときのことを思い出した、やっぱりそんな呼吸をしていたなと…電波が上手く繋がっていないところで動画を見ているように視界はコマ送りで進んだ、誰かがこちらに向
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