あらたな詩小説の世界/st
ら詩小説をこの作
品で創造されたのではないかと思われる。この他にも作者は、全行引用詩
などの全く新しい分野を切りひらかれており、私も常々尊敬している。
前置きが長くなったが、この作品は難しい漢字もほとんどなく、すらすら
読めて面白い。その長さゆえに敬遠されることもあるかと思われるが、む
しろ普通の詩が短かすぎるのではないだろうか。歳をとると短編小説さえ
読むのが疲れてきてしまう。そんな時は詩が一番で、あまりに短い詩では
小説と比較してみて物足りなさを感じることがある。なんというか、物語
り的なものが欲しくなるが、詩のよさも欲しい。こんな贅沢な要求に、こ
の作品は見事に応えているのだ。どの日付でも中断でき、どの日付からで
も読み始められ、詩あり物語りあり、詩人の情報あり、日常生活あり、数
学あり詩の講義ありと、数えたらきりがない話で満たされている。
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