詩の日めくり 二〇一九年二月一日─三十一日/田中宏輔
すごく精密につくられた「もの」、まさしく造物主につくられた「もの」という感じがして、ホームレスのひとがバス停のベンチの上に横になっている姿を見ても、ある種の美的感動を覚えるようになった。朔太郎だったかな、老婆が美しいとか、だんだん美しくなると書いてたと思うけど、むかしは、グロテスクなブラック・ジョークだと思ってた。
二〇一九年二月八日 「あっちゃ〜ん!」
「あっちゃ〜ん!」ときには、「あっちゃ〜ん! あっちゃ〜ん!」と二度呼ぶ声。父親がぼくになにか用事を言いつけるときに、二階の自分の部屋から三階にいるぼくの名前を呼ぶときの声。ずっといやだった。ぞっとした。気ちがいじみた大声。ヒ
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