詩の日めくり 二〇一九年二月一日─三十一日/田中宏輔
 

 確定申告が終わった。ことしは支払わなくてはならないかなと思っていたら、還付金が出た。税金のからくりが、さっぱりわからないで生きている。


二〇一九年二月二十六日 「文学」


 文学作品は、いったん読み手が頭のなかで、自分の声にして読んでいるので、どの登場人物の声も読み手の声だと言える。複数の話者がいても、すべて読み手の声だと言えるので、文学鑑賞とはまことに倒錯的な行為だと言えよう。


二〇一九年二月二十七日 「がりがり」


チャイムが鳴っている
がりがりと、薬を噛み砕いて飲み込むと
教室に入った
生徒たちのなかには
まだ薬を飲み込んでいない者も
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