詩の日めくり 二〇一九年二月一日─三十一日/田中宏輔
 

ぼくの部屋のチャイムを鳴らすところから
思い出すね。
ピンポーンって。
ぼくの部屋は二階だったから
きみは
階段をあがってきて
ただそれだけなのに
ひろいオデコに汗かいて
ニコって笑って
うひゃひゃ。
十九歳なのに
頭頂はもうハゲかけてて
ハゲ、メガネ、デブ、ブサイクという
ぼくの理想のタイプやった。

おやすみ。

ジュンちゃんは
見かけは、まるっきりオタクで
俳優の六角精児みたいだったけれど
高校時代はそうとう悪かったみたい。
付き合ってるあいだ
その片鱗が
端々にでてた。
ひとは
見かけと違って

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