詩の日めくり 二〇一九年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
らに、近くにお住まいですかとか、一人暮らしですかとか、笑顔で訊いてくるので、ちょっとドキドキした。前に日知庵で日系オーストラリア人の男の子にひざをぐいぐい押し付けられたときは、うれしかったけど、困った。恋人がいたので。で、きょうの子も、明日はお仕事ですか、とか、早いんですか、とか訊いてきたので、あ、もう帰らなきゃって言って、逃げるようにして帰った。いま、ぼくには、大事な恋人がいるからね。間違いがあっちゃ、いけないもの、笑。あってもいいかなあ。ま、人間のことだもの。あってもいいかな。でも、怖くて帰ってきちゃった。うん。ひさびさに若い男の子から迫られた。違うかな。単にかわったおっさんだから興味を示した
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