マジタナカ/ゼッケン
だったんだよな
それは知らなかったよ、本当に
本当ににぶいな、マジタナカは
おれたちはその後も本当という言葉を何度も繰り返して言った
まるで本当を本当に取り戻せるとでも思っている人間だった
おれにとって青春は体験したことのない、ただの知識だったが、
それはマジスズキたちにとってもそうだったらしい
おれたちは知らない同窓会に飽きると、じゃ、またねと言って別れた
ワイシャツの袖にミートソースのしみをつけたことは忘れない
クリーニングに出せばシャツのしみは消えるが、
宇宙が滅んで次の宇宙が始まっても、
一度しみがついたという事実は消えない。
おれがマジタナカだったということも
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