宿敵(一)/朧月夜
さて、話をアイソニアの騎士たちの物語に戻そう。
アイソニアの騎士には、幾人もの宿敵たちがいた。
その一人が、クールラントの聖騎士であるフランキス・ユーランディアである。
二人は幾度も剣を交えて、お互いを研鑽した。
二人が初めて顔を合わせたのは、クールラントの武闘会にてであった。
二人の剣戟は、激しく、観客たちを魅了した。
アイソニアの騎士がフランキスの喉を目がけるとすれば、
フランキスはアイソニアの騎士の胴体を狙った。
お互いに鎧は身に着けていたが、それは何の役にも立たないようなものであった。
フランキスはついに、御前試合では禁忌とされている、「アルザ・バウ」の魔術を使った。
これは、自分が受けたダメージをそっくりそのまま相手に返すという魔法である。
フランキス・ユーランディアは反則負けによって、アイソニアの騎士に屈した。
「あれはいかなる者なのか」フランキスは祭司クーラスに尋ねた。
「おそらく傭兵か盗賊の類でしょう。悪なる者です」祭司クーラスは答えた。
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