酒場散景/soft_machine
に酔う頃
あちらこちらで転げはじめる
とまり木に憩うカラスにはさまれた
グラスにひそむ一匹の蛸が
透明になろうとしてもなりきれない
泥炭の移り香のうちに
ひと揃い松をすませたもの足りなさを
茜いろしたおしょうゆに浴びせ
窒息寸前のあわびの蓋から
あふれる出る悦びの酒よ
アクリルの垂れぎみな嘆息にからむ
ドスタールと
フォンタナのポスターが
名づけ仕損なった気持をなごませる
伸びちぢみする夜はふけ
領収書のあて名はもちろん
しびれたくちびるや
おしりの記憶も
いずれ空白に
祭がさかんな町とのわかれは
さびしさのかけらも付けいらせず
街灯の傘に、ふくらむ下弦に
コンクリートを踏む夜走獣がたたんだ爪の
すき間からこっそりほほえんだ
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