ヨースマルテの真実/朧月夜
そろそろ、ヨースマルテの真実について語る時が来たようだ。
この地、ヨースマルテはかつては科学文明が発達した世界だった。
人々は当たり前のように電気を使い、街には高い建物があふれていた。
その安楽、幸福のなかで、ある事象が発生した。
そのある事象とは、今では「言語崩壊」と呼ばれている。
「言語崩壊」は今から三千年前に起こった、そして世界を激変させたのである。
それまで互いに言葉を持って語り合っていた人々は、
言語の崩壊によってお互いの意思疎通が一切できなくなってしまった。
それは、天上界にいる最高神ヨースアルナの怒りに触れたからだとも、
幽冥界にいるデーモンの力が働いたからだとも言われている。
そして、その「言語崩壊」を呼び寄せた者こそ、魔導士(ウィザム)だと言われているのだ。
真実は、今となっては闇の中である。誰も知り得ない。
しかし、「言語崩壊」から千年の間は、世界は暗黒だったと言われている。
人々は互いに殺し合い、嬲り合い、科学文明は崩壊したのだ。
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