髪の花/湾鶴
 
背中にふれる髪は
ここまで伸びた
毛先をつまむと3年前の記憶が
染み込んでいそうで
笑える

きいろい花はいっぱい咲いて
まばたきをする

すぅぃと踊らされて
闇をきる
ゆっさゆっさと居間をゆらして
踊るお父さんと
手を組んで
ハッケヨイ!
たるんだお腹が
エンゼルパイみたいだねと
笑いあった

きいろい花は
またひとつ
はなびらを広げ
頭も手足もうんと伸ばして
どんどん大きくなっていく



髪は 切ろう
はさみを持った右手は
他人の手のように動き
枝毛のない茎が
床に散らばってゆく


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