冬の花火/そらの珊瑚
 
凍てて黒く澄んだ空に
咲くとりどりの花

ずっとずっと昔に
同じようにして見た花火を思い出す

あの時隣にいた人は
もうこの世にいないことも思い出す
なんどなんど思い出してもまた思い出す

もしも
一緒に花火を見に行かなければ
時間のあやが掛け違われて
あの人はいまでも生きていたかもしれない
などと
考えても仕方のないことを考えていたら
いつのまにか
夜は静けさを取り戻していた

夜に逃げ込んだ黒猫はもう探せない
復唱するたびにかすかに鳴る、鈴の音

ままならぬことはいつだって現実
みんな
裸で生まれて一瞬の花火を打ち上げ
裸で死んでいく
復唱するたびにぎゅっと握る、拳
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