ホメロスについての2,3のことがら/がらんどう
「キュクロプスよ、おぬしはわたしの名を知りたいというのだな。では名を言おう。わたしの名は「ホメロス」という。わたしの後にくるものは皆、わたしのことを「ホメロス」と呼び慣わしているのだ」。
三世紀のローマ人クラウディウス・アエリアヌスは『多彩な物語』の第十三巻において「古人はホメロスの詩を分割して詠唱した」と述べている。たとえば、「カリュプソの洞窟」だとか「筏作り」だとか「アルキノオス邸での物語」だとか「キュクロプスの物語」だとか「キルケの物語」だとか「求婚者誅殺」だとか、そういう形で。プルタコラスの『リュクルゴス伝』によれば、後になってスパルタのリュクルゴスが、はじめてホメロスの詩を
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