追憶の彼方に/長月 猫
 
あるところに一人の男がいました

その彼は罪人でした

しかし彼はどこかの国の法に触れたわけではありません

彼自身の定めた約束を果たせなかったのです

彼は想います

「何故あんな事をしてしまったのか?」

「何故あんな事を言ってしまったのか?」

「何故あんな事を……」

「何故……」

彼は過去を悔やみます

しかし過ぎてしまった過去はもう取り戻す事は出来ません

それでも彼は過去を悔やみます

「何故……」

「何故……」

「何故……」

彼はこれからも悔やみ続ける事でしょう

しかし……

いつか彼も気がつくことでしょう

光はいつも前からやってくるのですから……
戻る   Point(0)