詩の日めくり 二〇一八年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ある金魚鉢のなかで金魚化する。
金魚化した感情をさまざまな大きさのものにし
さまざまな味のものにし、さまざまな食感のものにして
加工食品として、国営金魚フーズが日々大量に生産している。
国民はただ毎日、不安や恐怖や怒りを
配送されてきた金魚鉢に入れておいて
コンビニから送り返すだけでいいのだ。
すると、その不安や恐怖や怒りの質量に応じた枚数の
金魚券が送られてくるという仕組みである。
その金魚券によって、スーパーやコンビニやレストランなどで
さまざまな食用金魚を手に入れられるのだ。
二〇一八年十三月五日 「金魚蜂。」
金魚と蜂のキメラであ
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