詩の日めくり 二〇一八年十三月一日─三十一日/田中宏輔
だと思うよ。
自分からアプローチするひとじゃなかったら
動かないでしょ?
でも、そんなことあるんやあ。」
「ありましたよ。
なんか、さびしかったですよ。」
「なんやろ、
偶然かな。
こうやってふたりが会ってるのも
しゃべってるのも
気が合うってのも偶然だし。」
「ぼくも、こんなふうにふつうにしゃべること
なかったなあ。」
ひとりごとのように言う彼。
こういった時間流のなかでも
さまざまな事物や事象が生成し変化し消滅していく。
ぼくたちの声、微笑み、気持ちも
瞬間瞬間に変化し消滅していく。
詩人の役目は、その生
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