詩の日めくり 二〇一八年十二月一日─三十一日/田中宏輔
say that for destruction ice
Is also great
And would suffice.
火と氷
ある人々は世界の終りは火になるだろうと言う、
ある人々は氷になるだろうと言う。
自分が欲望を味わい知ったところから判断して
わたしは火になるという人々に同意する。
だが、もし世界の滅亡が二度あるものとすれば、
わたしは憎しみも十分に知っていると思うから
滅亡のためには
氷もまた偉大で
それもまたよいだろうと言いたい。
安藤一郎訳
この詩のアイロニーと滑稽さは秀逸である。
このような詩を書く高みに、自分も身を置いてみたいと思う。
けれど、ぼくのようなタイプの書き手は
高みにある偉大な詩人たちを見上げながら
彼ら彼女らが築いた人間考察の幅の広さとその深さに
ただただ感心するしかないのだろうとも思う。
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