祭司クーラス(一)/朧月夜
ここで祭司(ドルイド)クーラスの話をしても、良いだろう。
クールラントの王は、アイソニアの騎士やエインスベルたちの活躍に、
難色を示していた。彼らがいつかはこの国を、
乗っ取ってしまうのではないか、と危惧していたからである。
戦士エイソスは、すでにアイソニアの騎士と無二の友情を培っていた。
それは、嫉妬の女神エリスにも引き裂けないものだった。
祭司クーラスは、二人の友情に罅を入らせようとした、
それは至難の業であるように思われたが。
祭司クーラスは、いつでも陰から二人を見張っていた。
そこに友情の亀裂は見い出せないもののようであった。
ただ、クーラスの魔術を使う他には。
クーラスの魔術は、「不信」をその始原とする。
祭司クーラスは、何事をも信じていなかった、友情も、愛情も、憐憫も。
しかし、戦士エイソスとアイソニアの騎士とは、永遠に続く友情を誓い合っていた。
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