樹氷のシナプス、そして降り積もる囁き/ホロウ・シカエルボク
閉じたまぶたの裏側から古い鉄扉が軋むような音が聞こえる、それは思考回路の悲鳴なんじゃないかと思った、証明する手段などまるでないけれど…数年前に見た夢を急に思い出す瞬間、俺が生きようとしているのはどんな時間なのか?そんなことについて考えることは海岸の砂を色別に仕分けする作業に似ていた、どれだけやっても意味はなかったし、どれだけやっても終わりはなかった、人の宿命としてそれが無限ではないことは分かっていたけれど…人間など所詮有限の中に逃げ込む生きものだ、まるで防空壕に逃げ込んで弾に当たらないことだけを幸せだと数えるぼんやりとした目の連中に向かってなにを話せばいい?いつだって俺は黙り込むしかない、白紙
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