ヌード/ひだかたけし
冷え切って
毒づいて
虹のかかる遥かな空を
大きく両腕を広げ渡っていく
君が悪いわけじゃない
僕が間違ったわけじゃない
ただ人々が佇立する
ただ無関係にひざまづく
軽妙に、繰り返し繰り返し
眩暈する光景が
薄紅を引いて流れ
今夜こそ根源へと
ゆっくり揺らめき急いている
低く調子外れの声は
彼女のヌードに覆い被さり
次第次第に侵犯していく
巻き戻し不可能なビデオテープのように
永遠に回り続けるビデオテープのように
磨り減っていく、
彼女のヌードは神々しい
磨り減っていく、
彼女のヌードは神々しい
冷え切って
毒づいて
虹のかかる遥かな空を
大きく両腕を広げ渡っていく
いずれ明らかになるだろう
せり上がる不安の根源を
この揺らめく音韻に乗せ
底無しの彼方へと
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