静謐な祈りと世界に祝福を/月夜乃海花
 
相変わらず、特に何もない休日で
太陽に照らされながら汚い自室で
酒に呑まれ布団に倒れた。

何処かでは
寒いコンクリートの中、子供が
「おかあさん」
冷たい女の身体に悴んだ手で触れながら
最期、男に蹴られて動かなくなった。

何処かでは
銃を持つ子供が知らない人を撃ち笑って
「ざまあみろ」
違う子供は怯え泣いて震え泣きすすった。
最期、どちらの子供も血を流して死んだ。

そんな夢から帰った後
テーブルに手を添えてそっと酒に手を伸ばし
隣に君の懐かしく優しい気配を感じた。

そうか、君の命日は1ヶ月前だっけ。
子供の頃の記憶は忘れてしまうものだね。
なんて、独りで笑った。

せめて今日だけは世界に祝福を。
この部屋に立派なツリーは無いけれど
君や子供たちが眩しい光の中で
美しいツリーを見て幸せに過ごしている。

なんて、また独りで笑った。
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