手のひらの石/木屋 亞万
 
手のひらにすっぽり
おさまった石
しばらく握りしめていた
握るものがあるだけで
力をぐっと込められた

あなたに渡すと
温かいと言う
返してもらうと
たしかに温かい

わたしの手の温もりと
あなたの手の温もりが
溶け合った温かい石

座っていた場所を
入れ替わってみたら
おしりに伝わる
あなたの温かさ

自分の温もりは
自分では気づけないんだ

大事に握っていた石は
なくても平気になったけれど
自分以外の温もりが
ないとさびしくなってしまった
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