手のひらの石/
木屋 亞万
手のひらにすっぽり
おさまった石
しばらく握りしめていた
握るものがあるだけで
力をぐっと込められた
あなたに渡すと
温かいと言う
返してもらうと
たしかに温かい
わたしの手の温もりと
あなたの手の温もりが
溶け合った温かい石
座っていた場所を
入れ替わってみたら
おしりに伝わる
あなたの温かさ
自分の温もりは
自分では気づけないんだ
大事に握っていた石は
なくても平気になったけれど
自分以外の温もりが
ないとさびしくなってしまった
戻る
編
削
Point
(4)