アドスの竜退治(一)/朧月夜
聞け、これはアイソニアの騎士が生きていたころの話、
すなわち彼が生を受け、そして死する前の話だ。
しかし聞け、これは戦士エイソスが関わっていたからこそ、
伝わっている話でもあるのだ。
そのころ、アドスの野は竜の巣窟と化していた。
カシュクスの巫女はすでに身まかり、
竜どもに生贄の乙女が捧げられることもなくなっていた。
そして、竜たちの数は、七十を超えるほどにまで増えていた。
アドスの竜は、魔力の高い者たちをその餌とする。
最初に狙われたのは、ベル=ダッジアの邑だった。
しかし、それにも飽いてしまうと、竜たちはディペルスの街をも襲い始めた。
そこで王に召喚されたのが、戦士エイソスである。
戦士エイソスは、アドスの竜退治を命ぜられた。
二百人の手勢を率い、これを滅ぼせと。
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