くだらない街の冬の陽炎/ホロウ・シカエルボク
妄想癖の神父は教会の入口のそばで、目を覚ましたままぼんやりと涎を垂らしている、教会前の広場にずらりと並んだ日曜日の市場の、果実売りの娘が横目でそれを馬鹿にする、本格的な冬がやって来て、空は日本製の最新型のテレビ画面のように澄んでいる、その日二本目の煙草をフィルターのすぐ手前まで吸いきったあと、石畳に捨てて踵で消火活動をする、神父が臭いに気付いて片付けてくれるだろう、どうか非難しないで欲しい、これは彼の妄想を止めるための神聖なる儀式なのだから…十三歳くらいの、小児性愛趣味の連中に好かれそうな赤ら顔の少年が生活排水で塗り潰された川に釣糸を垂らしている、もしか魚が釣れたところで食べられるものでもある
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