風が/soft_machine
 

いつの間にか
身を寄せあって泣いていた
指をぽきぽき鳴らして泣いていた

そうして雲の縫いあわせがおわり
変形した音が聴こえだすと
空き缶からはい出して
ほうきの掃き手が 笑いながら
山をまたいで去ってゆく
街をふみしめ 虹を燃やして

風が吹いていた

ここまで漕げば
川を下る少女を遮るものは何もない
名前も
国境も
すべてあの霧の中
どこか遠くで一発の銃声がひびく

風が吹いていた


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