遺伝子のうた/梅昆布茶
 
遺伝子の乗り物である僕たちは
摂理の維持装置としての個体を
あたえられたのかもしれない

数学は世界を解析する不思議な詩
物理学者はたぶんときどき詩人

純粋哲学あるいは応用哲学
でも僕たちに必要なのは日常のうた

放課後の体育館裏ではいろんなロマンスが
あったのかもしれないが僕は無縁の人だったので
定形郵便で生きてゆこうとおもう

文芸という言葉はもうあり得ないのかもしれない
感受性が偏移してゆく加速度のなかで

言葉はメディアと等速で走ってゆく
もうそれはぼくらを離れて去ってゆく

ぼくの師はすべては暇つぶしとつぶやいていた
でも僕はその境地にはたどりつかなくて

美くしくないものはないんだ
人の魂が醜く歪めるだけで

なにかのきっかけで僕らは爆発する
なにかのきっかけで僕らは鎮静する

その先に何があるかもわからずに
























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