雪のバス停のお婆/月夜乃海花
 
これは私が小学生の話である。

当時、私は北海道に住んでいた。塾に通う際に、夏には自転車を使えたものの、冬になると雪のせいで自転車が使えない。だからバスに乗らざるを得なかった。私はバスが嫌いだった。当時は乗り物酔いも酷く、バスの如何にも吐きそうになる匂いも嫌いだった。でも、一番に嫌いだったのはバスを待ってる時に、必ず出くわしてしまう、年老いた女性(お婆と呼ぶことにする)だった。

お婆は、紫の髪に安い店で買ったような、ネイビーのダウンジャケットを着ていた。そして、初めて話しかけられた時に、何も台詞を聞き取ることが出来なかった!当時の私はフゴフゴと何かしら言うお婆に、ただただニコニコと頷きな
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