己れの悲しい凡庸さ/奥畑 梨奈枝
 
苦しい無個性たちに
重苦しいストーリーを
配って歩き
楽しくもない薄鈍の快感を
己れの中にこんな
悲しい凡庸さなど
見ずに済んだろう
読みたくもない
悲しい凡庸さなど

部屋を出ると肌寒い
曇り空と排気ガス
街路樹は無惨に枝が払われていて
生きた心地のしない馬鹿らしい道路に
寝そべってみたとて
こんな苦しい幸せなど見ずに過ごしたい
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