希望だったけれど叶わなくてもよかった/ホロウ・シカエルボク
それが本当に眠りだったのかと問われれば俺は分からないと答えただろう、現実なのか、それとも夢の中に居たのか、釈然としない何時間かが過ぎて、夢遊病者のように俺は服を着替えて外へと彷徨い出た、それは本当に無心のままの行動であったが、脳髄のどこかで聞こえている信号が自分をどこかに連れ出しているのだという奇妙な確信があった、もっともそれは、このあと数百時間を費やしても上手く語ることの出来ない事柄であっただろう、俺はずっと朦朧としていて、はたから見れば薬物中毒者のように見えたかもしれない、俺はただある地点からある地点へと、内実の分らぬ理由に促されて糸の切れた凧のように流されているだけだった、俺はまだ寝床の
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