image/damage/ただのみきや
 

せり上がった斜面から景色は傾れなかった
すっかり土色になって個を失くしつつある
落葉の層の乾いた軽さ 熊笹の有刺鉄線
汚れた雪がところどころ融け残っている
眼は狐のように辺りを嗅ぎ回った
いまだ飼い馴らせない若さの亡霊
だがいっこうに綺麗どころは見当たらず
ぼやけてゆく時間
片言をつかみそこねて踏み外す





            一 行 の
黒い 文字が 白 い
 糸 の

 な
  びく
    縮れに
       か
      わ
       る
        と

の微かにひらいた時間
  
[次のページ]
戻る   Point(4)