image/damage/ただのみきや
*
せり上がった斜面から景色は傾れなかった
すっかり土色になって個を失くしつつある
落葉の層の乾いた軽さ 熊笹の有刺鉄線
汚れた雪がところどころ融け残っている
眼は狐のように辺りを嗅ぎ回った
いまだ飼い馴らせない若さの亡霊
だがいっこうに綺麗どころは見当たらず
ぼやけてゆく時間
片言をつかみそこねて踏み外す
*
一 行 の
黒い 文字が 白 い
糸 の
た
な
びく
縮れに
か
わ
る
と
そ
の微かにひらいた時間
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)