チグリス/ちぇりこ。
 
グリスに語りかける、遠くの空で星の子どもたちがサラサラと夜の寝息を立てている、それに合わせてチグリスもポウセ童子の銀笛を吹く、冬の星座の星たちが星めぐりの歌を思い思いの旋律で歌う頃、チグリスはやっと眠りにつく、眠りについたチグリスを起こさないようにそっと寝床へ運ぶ、おやすみ、また明日。
翌朝、チグリスは消えていた、空っぽの部屋にチグリスの余韻だけが弱々しい朝の陽に象られ、空想の猫のかたちをした風がカーテンを揺らす、微かに漂うチグリスの残り香は昔別れた恋人の匂いと似ていた。
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