チグリス/ちぇりこ。
 
空想で猫を飼う、名前はチグリス
名前を呼ぶと尻尾をぴぃんと立てて走ってくる、空想なのでチグリスは排泄行為をしない、猫砂もチュールも要らない、今夜は冷えるから一緒に寝ようと言えば、チグリスは尻尾を立てたまま布団に入ってくる、うるうるといっぱいに水分を湛えた両目でぼくを見つめる、ザラりとした舌の感触がぼくの頬を伝う、部屋いっぱいにザラりとした感触が広がる、感触の余韻、ある夜チグリスとベランダに出る、あまりにも星たちが騒ぐのでチグリスは眠れなかったらしい、ぼくはチグリスに双子の星の話を聞かせる、チグリスは耳を立てたまま水分をいっぱいに含んだ目をぐりぐりにしてぼくを見る、ぼくはチュンセ童子の声色でチグリ
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