ボーイズ/ビー/シド・ヴィシャス/ちぇりこ。
自分のTシャツやGパンをハサミでジョキジョキする、これでTWO PUNKSだとTくんは笑って言う、Tくんと一緒に歩く、上も下もジョキジョキに切り裂かれた田舎の少年二人連れが白い畦道を歩いてゆく、カマイタチにでもあったのか、竜王山で遭難でもしたのか、と年配の方々の視線をよそに、ぼくらはジメジメとした湿気を含んだ風に吹かれながらパンクのように歩いてゆく。
ぼくたちの歩いている傍らで低空飛行のギンヤンマが交尾をしている、人目も憚らず交尾するなんてトンボはパンクだとTくんは言う、ぼくはそれがパンクなのだと納得する、結局、何がパンクでパンクじゃないのか曖昧なままぼくたちは成長した、Tくんとは疎遠になってしまった、でもあの日以来ぼくのハートには無数の安全ピンがブッ刺さったまま血を流し続けている。
パンクとはそう言うものだ、それがパンクだ。
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