欠勤/本田憲嵩
。日々の蓄積された疲労のせいなのか、
走馬灯のエンドロールが流れる。解けることは誰にでも必ず最後には訪れる。もちろん僕という個人のフィルムだって。そう、いつかは砂浜のように白くなってしまう。ものならばできるだけ一コマ一コマ眼を凝らして記憶してゆきたい。できれば喜ばしいシーンだけを、けれども悲しいシーンだってできるだけ。それが僕という生、それがいつも隣り合わせの彼女(ワタシ)という死。できれば、コーラとポップコーンの偏食が良いのだけれど。それにしても隣の座席に座っているオヤジの鼻炎のカメラシャッター音がいちいち五月蠅い。そんなにジロジロ、彼女(ワタシ)を撮らないでよ。
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