詩の日めくり 二〇一八年九月一日─三十一日/田中宏輔
 
 「ぼくたち二人が喫茶店にいたら」


ぼくたち二人が喫茶店にいたら
籠に入れた小鳥を持って女性が一人で入ってきた。
見てると、女性は小鳥に話しかけては
小鳥の返事をノートに書き留めていた。
「彼女、小鳥の言葉をノートに書き留めてるよ。」
「ほんとう?」
ぼくたち二人はその女性がしばらく
小鳥に話しかけてはノートを取る姿を見た。
彼女が手洗いに立ったとき
興味のあったぼくは立ち上がって
彼女のテーブルのところに行った。
ノートが閉じられていた。
その女性が小鳥の言葉を書きつけていたのか
それともまったく違うことを書いていたのか
ぼくにはわからなかった。

これ
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