「海に行こうと思ったのは」/ベンジャミン
 
きみがとつぜん
海がみたいと言ったから

 きっと寒いよ?と言ったのに
 小さく あったかいよと言い返されたから

ひとのいない砂浜が
どこまでも続いている

 どこまで行くの?と聞いたのに
 小さく 行けるところまでと言い返されたから

ふたりぶんの足跡が
あたりまえのように並んでいる

 いつまで歩くの?と聞こうとしたのに
 いつまでいるの?と言い間違えたのに

きみは手のひらにのせた小さな海を

 やっぱり冷たいと 小さく笑って
 だから言ったのにと 僕も笑って

いつまでもこんな時間が続いてほしかったから
僕も手のひらに小さな海をのせて

 おもったよりあったかいかもって言ったら
 おもったよりあたたかいんだよって

小さく きみが言ってくれたから


  
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