素体回帰/ただのみきや
 
も見えないお約束に慣れ過ぎていたし
黒衣は文字を使役することで使役されてもいた
ああ摩耗したペンキ塗りの胡散臭い神々の顔かたち
裏返された白い自己破壊の欲求が金魚のように脚を覆った
――あったのか源泉は 真っ二つにしたその中に
虹は鳴いていたか 金の卵は歌ったか
――闇があった 生まれる前の闇だけが滾々と
分け前だった 共食いだった 夜は再生する



                   《2021年12月1日》









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