演者たち――眼差しの接吻/ただのみきや
 


鍵っ子にした親が悪いのか
否 鍵なんてそんなもの
開けるというより失くすもの
そこにあっても見つからない





交通安全の――

旗はおよぐ
風を 光を 一身に
曖昧な一点の
竿をつかんで何処へも行けず

旗はおよいだ 
時を 瞳を 懸命に
受けては流し照り翳り
その身を縞に巡らせて

真夜中に風が死んだ
おのれの卒塔婆をつかんだまま
しおれた黄の花
文字は闇夜にすっかり化けた





報い

死への変化は急でもあり緩慢でもある
あらゆる死を見つめ続けよ
詩を読むように死を読め
孤独な誤読に怯え続けろ
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