アイソニアの騎士/朧月夜
 
おお、アイソニアの騎士よ、
誰がお前の勇猛果敢さを歌にすることが出来るだろう。
ああ、アイソニアの騎士よ、
お前はその死をもって死をも凌駕した存在となったのだ。

どんなに秀でた吟遊詩人であっても、
アイソニアの騎士について十分に歌い上げることはできない。
せめてその美麗な顔立ち、勇敢な旅の遍歴、そして戦果について、
言葉少なに語ることが出来るだけだ。

アイソニアの騎士が面した困難にも、艱難辛苦にも、
その孤独についても、人々はそれを言葉にすることが出来ない。
アイソニアの騎士に救われた町々が、たとえいくらあったとしても。

アイソニアの騎士の黄金の鎧は、あらゆる呪いを撥ねつける。
アイソニアの騎士よ、お前が死してすでに百年の時が経つ。
そして、未だにお前を超える戦士はクールの?(たに)には誕生していない。
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