腕輪数珠と十字架のネックレス/板谷みきょう
 
自分自身をブラフマンだと言い
警官に連れられ強制入院と
なった彼の目の前で
敢えて
天然石腕輪を付けている手首を
見せつけるように
ボクは彼の薬を
両の手で温めるように挟んだ

『何をしているか分かるかい?』

宗教妄想に囚われ尊大な態度で
頑なに治療を拒み続け
内服薬の拒否は時に
暴力的な抵抗となっていた

薬を飲まない為、ほぼ毎日
筋肉注射を射たれていた彼は
暫くしてからボクを見て
「薬が浄化されていく!
それなら、服めます。」

妄想支配から抜け出せない彼に
『誰にも秘密だけどね。君にだけは言っておくよ。
僕は、釈尊の直系。ゴッドサイダーとも
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