KAGEROU/あらい
コペーション
切り出されたラハイナヌーン
かわききった跡 くっついたまま外れないよう、
咥えこんだ。白い喉仏。だから、埋め尽くして。
青褪めた海に繋がれ ラウンジから眺める
澄んだ眼の 金魚鉢に、 取り込まれたままの、
傷だらけのオットアイ、そんなビー玉、本当は
ふたりの心臓だった。
いつか
種を蒔くときに
凪いだ水面に、
浮かべたままの黒薔薇の花弁は、
向かい合ったままの 花蜜蜂をのせて、
難破船のように青く漂い続ける、
舌触りだけの紫煙を 撒き散らした麝香に、
空を切るカイナに、ただ想う。
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