おくらの花/そらの珊瑚
 
ていた変な夢
起きたてに笑ってしまう
夢の中でも頑固だったので

元気だった頃の父が
早朝、おくらの花を収穫してきて
料亭で出る高級食材だぞと見せたことがあった
私はあれを食べただろうか
おそらく仕事に遅れまいと支度に忙しく
はなからそんなものに興味もなく食べなかっただろう

実になる前の命を
父はどんな思いでとってきたのだろう

私の娘の誕生日と同じ日に父は逝った
おまけに私の祖母の命日も同じ日だ
私の大切な人はなぜか十月が好きなようだ

今もどこかで
命は生まれ
命はなくなり
奇跡のような日常に
私は確かにここにいるよ

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