おくらの花/そらの珊瑚
 
十月になっても初夏みたいな日が続き
小さな畑でおくらの収穫をする

母は
穏やかでなんのわずらいもない日よりだと言う
この小さく可憐で柔らかなおくらの花が
せめて実になるまでそれが続きますようにと
小さく祈る

花の黄色は実の緑の中にあり、
いつかの虹は空の中にある
見えなくなっても
そうやって大切な人は誰かの中にいる

祈っても叶わないことはたくさんあって
父は亡くなり
母は
一年で一番良い季節を選んで父は逝ったのだと言う

昨晩父が夢に出てきた
なんらかの事情で、のちに私の夫になる男が家に泊まることになり
「結婚前にそんなことは認められない」と怒ってい
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