詩の日めくり 二〇一八年三月一日─三十一日/田中宏輔
た詩人である。
二〇一八年三月二十九日 「人身事故」
きょうも阪急電車、人身事故で遅れてた。ほんとうに、楽に死ねる方法や法律があればいいのになあと思う。電車に飛び込む勇気が、ぼくにはない。ずいぶんむかし、勝手に足が線路の方へ動いたことがあって、びっくりしたことがあるけど。無意識に死を望んでいたのだろうと思う。遠い昔のことだけれど。
でも、そのとき死んでたら、こんど、ユリイカの5月号に掲載される傑作の詩を書くことができなかったのだと思うと、生き延びなければならないのだと、つくづく思う。
二〇一八年三月三十日 「断章」
創造者であるとともに被創造物でもある。
(ブライアン・W・オールディス『讃美歌百番』浅倉久志訳)
二〇一八年三月三十一日 「バンコクに死す」
いま日知庵から帰ってきた。ダン・シモンズの短篇集『夜更けのエントロピー』収録さいごの「バンコクに死す」を読みながら寝る。やっぱり、早川書房の異端作家短篇集より、河出書房新社の奇想コレクションのほうがおもしろい。
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