知らずにもとめて/ただのみきや
 
も似た
祈りの色味 ことの葉は
風もないのにはらはらと
土に還らず 
天に上らず

 *

日に日に火の葉のふり落ちる
桜枕にあてもなく
窓に吐息を寄せながら
酒のあいては人ならざるか

 *

銀杏は黄色い小魚の群れ
風の大魚にはたはた怯え
蔦は真っ赤な貝
銀杏の幹に絡んでじっとして

 *

冬眠しない虫たちは永眠もしない
有機物から無機物へ
人のこさえた網の目を
人を捕えて放さないあの網を
苦も無くさらりとすりぬけて

 *

墓石はなにも告げない
黄昏に照り返し
風の輪に落葉をつづる
つめたく固い肌
なぜかふと抱きしめたく
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