エチュード1/梅昆布茶
 
夢ひとつ羊雲のように
愛はひとつも翻訳されないままに

出版されない無数の文学たちが
ちいさな夜に点滅しては消えてゆく

すべての作品の消失点が世界を成すならば
僕も世界の一部なのかもしれない

定義は変遷しても詩人もどきは
死人同様に雨後の筍状態で

だから死人のような詩人もどきに
まだまだならないように夢を見たいのです

すべての役柄をこなすことは不可能なので
すべての人事を制御するのは不可能なので

本当は優しいニーチェのように
自分を震撼させて本来を取り戻したいと



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