只ぼうと/
ひだかたけし
木立の緑が揺れている
私は冷たい虚を飼って
鉛の監獄から眺めている
気だるく憂鬱な昼下がり
空は一面の灰白模様、
風はもう絶えず吹き
荒れ果てた街並みが
ぱたんぱたんと倒れていく
)此処で俺は何を待つ?
)すべて、すべて失われ
)この命だけ明滅し
木立の緑が揺れている
私は冷たい虚を飼って
鉛の監獄から眺めている
絶望もなく希望もなく
只ぼうと眺めている
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